わかる! トクする! あなたの相続

はじめに

 誰もが知っているとおり、相続とは、遺産を引き継ぐことであるが、
この遺産とは何であろう。何を遺産というのであろう。
 これも、誰もが知っているとおり、遺産とは遺された財産のこと、
亡くなった人が持っていた財産のことである。

 では、亡くなった人が一番大切にしていた財産は何であろう。
土地や建物の不動産だろうか、それとも、定期預金や株券の金融財産だろうか。
 亡くなった人が一番大切にしていたのは、配偶者(妻)である。
ここで言う「妻」とは、相続人からすれば、年老いた母親のことである。
土地や建物の不動産よりも定期預金や株券よりも、大切だったのは、相続人の母親、すなわち、父の妻に違いないのだ。

 しかし、どうであろう。相続となると金銭的な遺産を欲しがるばかりで、年老いた母親は誰も欲しがろうとしない。
亡父が大切にしてきた財産(妻・母親)なのに、誰も相続したがらない。
 このように書くと法律の専門家から「人間(妻・母親)を物扱いするとは何事だ」と強い抗議が来るに違いない。
しかし、遺産と年老いた母親を別扱いしては相続はまとまらない。そして、先祖代々の墓を継ぐことも相続である。
 相続は、年老いた母親を継ぐこと、先祖代々の墓を継ぐこと、遺産を継ぐこと、の三点がセットになっている。
この内のどれを欠いても相続はまとまらない。相続が骨肉の争いになるのは、
遺産を継ぐことだけを考え、年老いた母親のことも、先祖代々の墓のことも考えないからである。

 得をした、損をした、という話は口コミで伝わる。
口コミで伝わる話には説得力があるのだが、事、相続に関しては口コミ情報を信じてはいけない。
相続は十人十色、いや、千人千色・・・年齢も違えば家族構成も違い、所有する土地の価額も違えばその形も違うのだから、
口コミの情報がそのまま自分たちの相続に当てはまることはない。

 例えば、相続税の節税対策がそれだ。更地に貸家を建てればその敷地の評価が下がって節税になる、
と口コミ情報では伝わるが、貸家の建築費用に自己資金を使うのか、銀行の借入資金を使うのかでは、損得が逆転することがある。
 遺産を一万円でも多く相続すれば得なのか、相続税を一万円でも節税すれば得なのか、
この本ではどこの家にも起こりうる相続の様々な問題点を多数紹介しつつ、色々な面で得した相続と損した相続を解説している。

 あなたは、「自分の家は相続で争うことはない」と思ってはいないだろうか。骨肉の争いを他人事と思ってはいないだろうか。
 あなたがいれば親がいる。親がいれば相続がある。相続があれば、争いがある。
 あなたは、骨肉の争いを回避しなければならない。相続を醜くしてはならない。賢く相続して欲しい。


     2005年4月 薄井逸走


戻ります





.