法人税調査は きっと! ここを見る

はじめに

 税務署の調査官は、月平均2社、1年間に約25社の税務調査をしている。
一方、その調査を受ける法人の方からすると、平均5年に1度、税務調査を受けている。

 調査官は5年で125回の調査をし、調査を受ける法人側は5年に1回の調査であるから、
良くも悪くも、その差は歴然である。税務調査というグラウンドに出ただけで法人側の経験不足による形勢不利が感じられるのだ。
またそこには、調査をする側と調査を受ける側という立場の違いもあるから、税務調査は調査官の一方的な意見で進められる傾向にある。

 多くの場合、税務調査のグラウンドはグレーゾーンになる。黒と見れば黒く、白と見れば白く見えるのがグレーゾーンだが、
調査官は経験と立場の優位を武器にグレーゾーンを一方的に黒と解釈し、時には独自の理論で白いものを黒と決めつけることある。
レフリーのいないグラウンドでは調査官がレフリーを兼ねてしまうのだ。

 当然ながら、調査官の意見が常に正しいということではない。法人側の税務処理が常に間違っているということではない。
グレーゾーンはグレーゾーンとして認識され、丁寧な解釈がなされなければならず、調査官の独自の理論は排除されなければならない。

 この本では、税務調査の現場を再現することにより、調査官はどこに目を付け、それをどう見たのか、
これに対して法人側はどのような説明をしたのか、その結果どのような調査となり、どのような証拠書類が必要となって、
どのような結末になったのかを記している。

 そして、調査官の指摘が本当に正しいものなのか、調査官はグレーを黒といっているのか、グレーを白と見ることはできないのか、
調査官を納得させるにはどのような方法があるのかを解説し、末尾に、それぞれの事例から学ぶべき事項を「教訓」として整理している。
 また、目次に工夫をしている。ページ順の目次のほかに、科目別、状況別にまとめた逆引き的な目次を設けた。売上と在庫が連動し、
修繕費と資産計上が表裏の関係にあるように、各項目が複雑に絡み合った中で行われるのが税務調査だからだ。

 5年間に125回の調査をする調査官と、5年に1回しか税務調査を経験しない法人とではハンディがありすぎる。
税務調査の現場を再現することが、普段の経理処理を改善する手助けとなり、調査を受ける心構えの一助となるものと確信している。

                          2005年5月 薄井逸走


戻ります





.